ドレスアップ(DIY)・豆知識備忘録

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時代とともに発展する自動車 ~ハイブリッド車の構造~

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車の開発技術が進歩するにつれて、環境保全を目的としたエコカーが重点的に開発されてきました。

そんな中でも、各社がこぞって開発を進めているのがハイブリッド車(HV車)です。

テレビのコマーシャルなどで頻繁に見る機会はとても多いですが、そもそも「ハイブリッド車ってガソリン車と何が違うの?」と思う方も多いと思います。

ここではメーカー別に推奨するハイブリッド車の構造・特徴などを簡単にまとめてみました。

 

 

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ハイブリッドとは、2つ以上の異なる動力源を組み合わせた自動車の通称(自動車以外にも当てはまる)で、ハイブリッド車の定義は内燃機関のエンジンと電動機のモーターを、必要に応じて使い分けることでエネルギー効率を高めた車ということになります。

車種によって違いはありますが、運転条件によってエンジンのみで走行、モーターのみで走行、エンジンとモーターを同時に使用して走行するものなど様々な組み合わせがあります。

ガソリンエンジンは低回転域での効率の悪さという基本特性をもっており、発進と停止を繰り返す市街地走行では燃費効率が大きく落ち込んでしまいます。

しかし、回転し始めから最大トルクを発生するという電気モーターの特性は、市街地走行で有効です。

さらに電気モーターは回転を与えると発電機として機能するため、回生ブレーキとして減速時に電気をバッテリーに蓄え、必要なときにエネルギーを取り出すことができます。

 

ハイブリッドシステムにとって重要なのは、バッテリーに蓄えたエネルギーを「いつ」「どのように」「どれだけ」使うかということです。

技術的要因や要求性能、コストの兼ね合いなどによりさまざまな答えがあるため、それぞれの用途にあわせたいくつもの種類のシステムを搭載したハイブリッドカーが登場することになりました。

 

 

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車に採用されているハイブリッドシステムはエンジンに対するモーターの配置箇所・駆動方法によって区別されていて、「シリーズ方式(直列方式)」「パラレル方式(並列方式)」「スプリット方式(動力分割方式、シリーズ・パラレルHV)」の3つに分類されます。

仕組みに関して以下に解説していきます。

 

 

シリーズ方式(直列方式)

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エンジンと駆動系を完全に切り離してエンジンを発電のみに使用し、モーターを車軸の駆動と回生のみに使用し、さらに電力を回収するための蓄電池を搭載しているものです。

エンジンを発電機の動力源として搭載したで電気自動車とも言えます。

仕組みとしてはエンジンによる発電機の駆動で発電した電力を、モーターの駆動に使用して走行します。

またエンジンで発電した際の余剰電力(使いきれなかった電力)、および回生ブレーキにより発生した電力を大容量バッテリーに一旦蓄え、その電力でもモーターを駆動し走行します。

電気自動車の大きな欠点として、出先で充電設備を確保しにくいうえに充電時間が長い点、1充電あたりの走行距離が少ない点などが挙げられますが、シリーズハイブリッド方式では内燃車同様に燃料を補給するだけでこれらの欠点から解放される利点があります。

また、燃料が切れた場合や静粛性が求められる場合でも、バッテリー残量に余裕があればエンジンを止め、モーターのみ(EVモード)で走行することが可能です。

モーター駆動であるため出力制御が容易で、通常の自動車に必須なトランスミッションが不要であることが特徴ですが、内燃機関とハイブリッドシステムが共存するため、システムそのものがエンジンルームなどの車内外空間の占有体積と重量が大きくなること、エンジンの動力を一旦電気に変換する際に発生する熱エネルギーの損失が多く、回生制御が働かないと効率が落ちることが欠点となります。

この点を補うため、バッテリーの容量を縮小し、エンジンで随時発電をする方式が開発されました。

エンジンの効率が著しく悪い低負荷ではバッテリーからの電力で走行し、ある程度以上の負荷では走行に必要な電力はエンジンの発電でまかないます。

エンジンは最良燃料消費率となる領域以外も使用することになりますが、トランスミッションで接続されていないため求められた出力に対しては最も効率の良い領域で使うことができます。

 

 

パラレル方式(並列方式)

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搭載している複数の動力源を車輪の駆動に使用する方式です。

エンジン出力 =トルク × 回転数の関係にあるため、エンジンの低回転時には十分なパワーが得られないばかりかアイドリングを含めて効率が悪く、排出ガスの浄化能力も落ちてしまいます。

一方、モーターは起動時に最大トルクを発生するものが多いため、発進時や急加速時など、エンジンが苦手とする熱効率が悪く有害排出物の多い範囲をモーターに受け持たせるといった、両者の「いいとこどり」ともいえるのがパラレル方式です。

この場合、通常の内燃機関と遜色のない出力を持つエンジンを備えるものが多く、内燃機関同様の許容量のトランスミッションを持ち、それを介して車輪の駆動を行い、同時にモーターを用いた発電(充電)も行います。

回生ブレーキの発電機としても用いられるモーターは発進から中速域までを受け持ち、車両総重量に比較して小型で出力も小さいので、バッテリーの容量も少なくて済みます。

バッテリーの残量が少ない場合は、通常の内燃機関と同様に全速度域にわたってエンジンのみでの走行が可能です。

このように、従来の内燃機関をメインとした構成のため、モーターアシスト方式とも呼ばれています。

一般に、モーター1基で実現可能という設置重量および体積面と、エンジンによる直接駆動もできるなどの効率面でシリーズ方式よりも優れています。

ただし、双方の動力源の利点を活かすための構造や制御が複雑となり、モーター1基ゆえに発電と駆動を同時にできない(モーターの使用頻度が高まるほど充電時間が短くなる)という欠点があります。

また、ハイブリッドシステム自体には速度を制御する機能が盛り込まれておらず、通常の自動車と同じトランスミッションが必要という、他方式にない欠点もあります。

ただし、この点を逆手に取った伝達効率に優れるMT仕様のハイブリッド車も存在します。

 

 

スプリット方式(動力分割方式、シリーズ・パラレルHV)

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エンジンからの動力をプラネタリギアユニット を用いた動力分割機構により分割(スプリット)し、発電機と車輪の駆動へ振り分けたり、エンジンとモーターからの駆動力を自由に合成することが可能な方式です。

発進時や低速走行時にはバッテリーに蓄えられた電気でEV走行、通常走行時にはエンジンを最大トルク近辺の燃料消費率の低い回転域で使用し、プラネタリギアユニットを介した発電機で同時にバッテリーへも充電を行いながら速度制御を行います。

燃費悪化の原因となるエンジン出力の変化を極力抑えていることもこの方式の特徴です。

スプリット式は動力分割機構(遊星ギア)を用いて、発電機とモーターの回転制御を行うことでトランスミッションの役割を持たせることができるため、従来型のトランスミッションを搭載しなくても走行することが可能になります。

制御範囲は広いが、エンジン・モーター・発電機の回転数の縛りは残るため、エンジントルクの直接利用範囲は限られ、通常の速度域では発電機を介した電気駆動が駆動力の大部分を占めます。

電気駆動の際には必然的に熱エネルギーの損失が発生しますが、エンジンの高効率域を利用する制御になっているため、全体的な効率は高くなります。

他の方式に比べると部品点数が少なくシンプルですが、動力分割機構の制御が非常に複雑、かつ特許面の関係もあって、他の方式に比べ採用メーカーの数では少数派に属する方式であり、当初は採用車種の選択肢が少ないのがスプリット方式最大の欠点となっています。

また、機構上エンジンとモーターを切り離せないため、加速力を重視した設定にすれば燃費が、燃費を重視した設定にすれば加速性能が悪化するという、作用に応じてある一点に偏ってしまう欠点があります。

 

 

 

以上が、ハイブリッド車の解説です。

各社様々な方式のハイブリッド車が登場していますが、今でもトヨタ社のアクアやプリウスがメインとなっているようです。

高級車とされるクラウンやレクサスさえもハイブリッド化されているので、今後はガソリン車が衰退していくのではないかと思います。

そう思うと、少し切なくなってきますね。