雨天時の必需品 ~ワイパーブレードの機能と使用期限・交換方法~
悪天候時に視界を妨げる主な要因は、雨ではないでしょうか。
雨が降ってくると車のフロントガラス全体を濡らして、ドライバーの視界を曇らせてしまうばかりではなく、安全運転に支障をきたす恐れもあります。
ここではワイパーゴムの交換時期や劣化状態の見極め、交換の仕方などを解説していきます。
毎日の安全運転をサポートする重要なパーツなので、ぜひ参考にしてみてください。
ワイパーの主な役割は視界をクリアにすることです。
安全に走行するために、キレイですっきりした視界をキープするポイントはワイパーにあります。
雨や雪で視界が悪いと運転しにくいですし、結果として事故にもつながることがあります。
晴天時に比べると、雨天時の事故発生リスクは約5倍ほど高まるそうです。
事故のリスクから身を守ってくれるワイパーは実はとても傷みやすいです。
停車中、走行中の砂やゴミ、鳥の糞、猛烈な太陽光などの汚れやダメージは避けられず、ワイパーはいつでも過酷な情況にさらされています。
大切なワイパーは定期的にチェックして、少しでも傷んでいたら交換することで、いつでも視界をクリアにしておきましょう。
ワイパーは季節によって使い分ける必要があり、夏季に使用されるワイパーを夏ワイパー、冬季に使用されるワイパーを冬ワイパーもしくはウィンターブレードと呼ばれています。
夏ワイパーの場合はワイパーゴムと、それを固定・支持するためのワイパーブレードによって構成されています。
ゴムは車の窓ガラスのサイズによって長さが変わってくるため、交換する際には今現在装着されているワイパーゴムの長さをメジャーなどであらかじめ計測しておくと、適合する新品のワイパーゴムを簡単に探すことができます。
次にワイパーブレードですが、こちらはゴムのサイズとワイパーアームの形状によっていくつか種類があります。
一昔前の車には上記のような鉄製のワイパーブレードが装着されている場合がほとんどだと思います。
このようなタイプはトーナメント式ワイパーブレードと呼ばれていて、今現在最も多く使用されています。
ワイパー操作時の安定性は比較的に優れていますが、ワイパーブレード本体の見た目はあまり良いものではなく、金属製ということもあって使用環境によっては錆などが発生してしまう場合があります。
また、高速走行時などの高風圧を受けるとワイパー操作時の安定性が損なわれてしまい、びびり音が発生してしまう場合があります。
ワイパーゴムを支持する部分が可動しないため、ガラスの湾曲具合によってはゴムの両端がガラスにフィットせず、拭き残しが発生しやすいです。
用品店で広く販売されているワイパーで、もっとも多く販売されているのはこのフラットワイパーブレードで、ブレードの骨格部分を極限まで薄くしているのが特徴です。
そうすることでワイパーブレードによる視界の遮りを解消するだけでなく、ブレード全体が一定の割合で湾曲させてあるため、様々なガラスに対してぴったりとフィットします。
薄くなっているぶん空気抵抗を受けにくくなっているので、高速走行時にも安定したワイパー操作が可能です。
ただし、このワイパーブレードには専用のワイパーゴムでないと取付ができないため、トーナメント式で使用されるゴムを流用することができません。
近年の車になると樹脂で形成されたワイパーブレードが標準装備になっていることがほとんどです。
この特殊な形状をしたワイパーブレードをエアロデザインワイパーブレードと呼びます。
流れるようなフォルムは空気抵抗を極限まで抑えてくれるので、あらゆる走行条件の下で安定したワイパー操作ができます。
フラットワイパーと同じようにブレード部分が湾曲しているためガラスにフィットしやすくなっています。
その独特なフォルムは車との一体感を持たせるデザインなので、どんな車種でも違和感なく取り付けることも可能です。
また、アームの形状によっても取り付けられるワイパーブレードは異なってきます。
一般的なのはUフック型です。
取り付け部分のロックレバーを解除しながらブレードの脱着を行うものです。
古い車になると、ビスによるアームへの取付が主流になります。
ワイパーブレードの種類によって付属の専用ビスを使用しないと、ガラス面にビスが直接接触してしまうので注意してください。
ワイパーブレードとワイパーアーム間を、板バネを内蔵した専用のホルダーによって取付するタイプです。
アームに対して真っ直ぐ差し込むものもあれば側面から差し込むものもあるため、取付前にどのようなワイパーブレードを使用しているかを確認しておくと良いでしょう。
一部のリアワイパーアームには樹脂製のものがあり、その場合には専用のワイパーブレードを取り付けなくてはなりません。
アーム側にはコの字状のアタッチメントがあるので、この部分にブレード側のピンをはめてやった後に、アーム側におこすことで固定されます。
おもなワイパーブレードの種類・取付方法はこの通りになります。
海外の車になるとこれら以外に別な取付方法がある場合もありますが、ここでは省略させていただきます。
ちなみにこちらの画像は冬ワイパーになりますが、夏ワイパーと比べるとブレード全体がゴムで覆われているのがわかると思います。
ワイパーに限らず全てのゴム部品に共通することですが、外気温が低ければ低いほどゴムは硬化してしまい、ガラス表面に氷と一緒に付着してしまうことがあります。
その状態でワイパー操作をしてしまうと、ゴムがガラスに張り付いたまま強引に拭き取り操作をしてしまうため、ゴムの劣化を早めてしまうどころかゴムが裂けてしまうこともあります。
そのため冬ワイパーの場合は硬化しにくいゴムを使用していたり、凍結防止のためのコーティングを施工してあったりします。
夏場に冬用ワイパーを使用するうえではとくに問題はありませんが、高速走行時などの空気抵抗を受けやすいため、拭き残しが発生しやすくなります。
なので季節に応じて専用のワイパーを使い分けるのが良いでしょう。
では、ゴムの交換方法を紹介していきます。
そんなに難しいものではないですが、ガラスを破損させる危険があるので、一度おさらいしておきましょう。
まずは交換するにあたって必要なものを準備しておきましょう。
・既存のワイパーブレード
・新品のワイパーゴム
・極小マイナスドライバー
・厚手のタオル(数枚あるとなお良し)
ワイパーブレードをガラス表面に圧着させるため、ワイパーアームの内側にはコイルスプリングが取り付けられています。
自力で交換するときにやりがちなのは、アームを立ててワイパーブレードを取り外すとき、もしくは取り外した直後にバネによってアームが下がり、ガラスに直撃してガラス表面を破損させてしまうことです。
ディーラーなどでもこうした事例は少なくないので、画像のようにワイパーブレードを外す前に、アーム頂点と接するガラス面にタオルを敷いておきましょう。
一枚だとクッション性に乏しいので、4つ折りにしたタオルを3~4枚ほど重ねておくと良いでしょう。
アームとブレードを画像のように起こし、赤丸部分のツメを押し込みながら、ブレード本体をアームの根本側にスライドさせます。
この時、アームとブレードをしっかり手で支えて、ガラス面に直撃しないようにしましょう。
取り外した後はアームをタオルの上に乗せておきます。
エアロデザインワイパーの場合はアームのUフック取付部上部(赤丸)にカバーがあり、この部分をマイナスドライバーでこじって起こしておきます。
その後はトーナメント式と同じように取り外します。
ワイパーブレードを取り外せたら、次はワイパーゴムを取り外します。
ワイパーゴムの一端は画像のように膨らんでいて、この部分から引き抜いていきます。
ゴムの側面にはワイパーゴムの形状を一定に保つための板バネが組み込まれているため、力任せに引き抜こうとするとバネが歪んでしまう場合があります。
ゴムの中心よりやや上側を持って、押し出すようにするとすんなり取れてきます。
板バネにはゴムとの位置合わせのために溝を設けてあるので、新品のゴムと付け替える時も同じ向き・同じ位置に付け替えておきましょう。
あとはワイパーブレードに対して、ゴムを元通りに取り付ければ完了です。
アクアやプリウスなど、最近の車はエアロデザインワイパーが主流ですが、車種によっては画像のように極端に短いリアワイパーが取り付けられている場合があります。
こういったタイプはゴムをスライドさせて取り外すことができないため、ワイパーブレード本体を分解しなくてはなりません。
この場合、樹脂製のワイパーアームなので、ブレード自体は回転させてやると簡単に外せます。
次にワイパーブレード本体の分解ですが、これは少し勇気が必要です。
赤丸部分にツメがあるので、ここを支点に赤線部分をワイパーゴム側に折り曲げます。
そうすると赤丸のツメが外れるので、ワイパーゴムを交換して元に戻します。
分解するのに少し勇気が必要ですが、慣れてしまえば一瞬で交換できるようになります。
以上が、ワイパーゴムの交換になります。
交換時期は車の使用環境によって大きく変わってきますが、およそ1年ほどになります。
あまりにも過剰に使用すると画像のようにぱっくりとゴムが裂けてしまうこともあるので、若干の切れ目が見られるようになったり、拭き取りが悪くなってきたら思い切って交換してしまいましょう。
ワイパーの機能は安全運転に大きく作用しますので、こまめなチェックと交換を心がけると良いでしょう。