ドレスアップ(DIY)・豆知識備忘録

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車の性能! ~トルクってなに?~

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自動車の性能を語るうえで必要不可欠な「トルク」。

なんとなく車を走らせるために必要な力、という認識をお持ちの方がほとんどですが、トルクという性能に関して詳しく知る方は少ないのではないかと思います。

ここでは車の「馬力」と「トルク」の違いについて解説していきます。

今後の車選びの参考になると思いますので、ぜひご覧ください。

 

 

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トルクとは、回転軸まわりに生じる「物体を回転させる力(力のモーメント)」の単位のことです。

たとえば、トルクレンチを使ってボルトを締めるときの力や、自動車が前進するために必要なクランクシャフトの回転を発生させるエンジンの駆動力をトルクということができます。

後述するトルクと馬力との違いを説明する上でも、トルク自体が回転数とは異なる概念であることを知っておかなくてはなりません。

あくまでもトルクとは回転させるための力です。

 

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一般的にトルクというのは「ねじりを発生させる力」と表現されますが、たとえばあなたがレンチを使ってボルトを締めるときにしっかりと手を握り、グッと力を入れてレンチを回す場面を想像してみましょう。

そこで、あなたの腕に加わる力がトルクだと考えるとしっくりくるでしょう。

トルクに加えてもう一つ、自動車のパワースペックを説明する上で欠かせない単位が「馬力」です。

馬力の性質は、「トルク✖回転数」で求めるエネルギーであって、「ある重さの物体を、どれだけの時間で、どれだけの距離を動かしたか」という「仕事率」表す単位となります。

馬力が高ければ高いほどスピードが出る一方で、トルクが高ければ高いほど、より重い物を持って走ることが可能です。

 

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「高馬力」は人間で例えるなら「短距離走者」、車であれば「スポーツカー」と表現することができますし、「高トルク」を人間で表現するなら「相撲取り」、車であれば「トラック」と考えることができ、非常にわかりやすいと思います。

馬力とトルクの両立は難しく、馬力に対してトルクが不足すれば停止状態からスタートするために苦労しますし、トルクに対して馬力が不足すれば、最高速度が伸びることはありません。

 

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トルクは、主に自動車のパワースペックを表現するときに重要となる概念ではありますが、トルクの計算式を説明するにはトルクレンチでボルトを回す例を引き合いに出す方がわかりやすいでしょう。

ボルトが回転軸となり、その軸からトルクレンチを握る位置までを「m(長さの単位)」として、レンチを回す力を「N(力の単位)」としたときのトルクの計算式は「N・m」となります。この計算式は、そのままトルクの単位として新計量法が定めています。

短いレンチを使うよりも、長いレンチを使う方が、力が入りやすいという感覚が理解できれば、トルクの本質を掴みやすいでしょう。

 

トルクを表す単位には、おもに2種類が用いられています。

 

・「kgf・m

質量を表す「kg(キログラム)」という単位は聞き馴染みがあると思いますが、「力:Force」の概念が加わった「kgf」は、物体に掛かる力を表す単位です。

その力に対し、長さを表す「m(メートル)」を乗算することで、回転を生み出す力「kgf・m」となります。

 

・「N・m

1993年の新計量法施行によって、「kgf・m」に代わって新たに使用されるようになった単位が「N・m」です。

「N(ニュートン)」は物理学では著名な力の単位を表し、そこに長さを表す「m(メートル)」を積数として、「N・m」というトルクの単位となります。

 

これらの単位を相互に換算すると、以下のようになります。

 

・「kgf・m→N・m」

1kgf・m=9.8N・m

 

・「N・m→kgf・m」

1N・m=0.102kgf・m

 

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馬力の求め方は、「トルク✖回転数(✖定数)」という単純な計算式を使います。

このことからも、トルクと回転数には密接な関係があることがわかります。

トルクと回転数の両方をアップさせ、より高い馬力を発生させることが重要だと考えがちですが、実はそうではありません。

走行する車のすべては、「トルクが欲しい」状況と「馬力が欲しい」状況の両方に必ず直面してしまいます。

上り坂はギアを上げて馬力全開で登るものではありませんし、高速道路でトルクを重視してもスピードは出ません。

ここで、「変速比(ギヤ比)」を持ち出してみましょう。

馬力が十分にあり、トルクが欲しければギヤを下げて回転数を落とし、その分トルクを太くすることができます。

一方でスピードを上げたければギヤを上げて回転数を増やし、最高出力を引き出すという、「トルクと回転数の配分」が非常に重要なのです。

 

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車の性能を表すものとして、「パワーウェイトレシオ」と「トルクウェイトレシオ」というものがあります。

パワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオとは、車の動力性能を測る上で重要な概念であり、車の試乗インプレッションでよく見かける言葉でもあります。

ちなみに、「レシオ」とは「比率」を意味します。つまり、パワーウェイトレシオは「ウェイト(重量)/パワー(馬力)」、すなわち「1馬力あたりの重量」を指し、トルクウェイトレシオは「ウェイト(重量)/トルク」、すなわち「1トルクあたりの重量」を指すのです。

同じエンジンスペックの車が2台並んでいるとき、より車両重量の軽い方が、動力によって負担される重量が軽いので、より速く、そしてより太いトルクで走行できるという理屈になります。

 

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最近の車になると、ハイブリッドカー(HV)やEV(電気自動車)の動力となるモーターのトルクもあります。

スターター起動から回転運動の発生まで、若干のロスがあるエンジンに比べ、モーターはスタート直後からトルクの旨みを引き出せるという利点があります。

そのため、HVやEVの発揮する総合トルクは、ガソリン車よりも高い傾向にあります。

自動車の動力がエンジンからモーターに代わられる時代が近づいていますが、もはやモーターが引き出すパワーは、エンジン顔負けのレベルです。

「モーターのみで車が動かせるのか」といった不安や疑問は、初代プリウスが登場した当時よりも大幅に解消されつつあるのです。

これからの車選びの参考にすると、より自身の用途に合致した車を探し出すことができます。

よりぴったりだと思える車を選びましょう。