現代には欠かせないカーナビ ~なかった時代はどうだったのか?未来のカーナビの姿は?カーナビの搭載による交通事故は?~
最近の車はカーナビが標準装備になっている場合がほとんどです。
そんなカーナビも車両が停止している状態じゃないと操作できないのですが、友人の車に乗ってみたら走行中なのに操作できた、しかもTVまで見れたなんてことも多いのではないでしょうか。
時代とともに進歩するカーナビの性能や改造例、それに伴う危険性などを解説していきたいと思います。
カーナビで目的地を設定したが、高速道路を走行中に目的地を少し変更したい、あるいは間違えてしまった、なんて経験があるかもしれません。
下道であれば、信号停車時の際や路肩に停車した際にナビを操作することができます。
ところが高速道路などすぐに停車できない場面では、カーナビの操作が制限されており、目的地の変更などの操作ができなくなります。
同様に、走行中はDVDやTVの視聴は音声のみになる、といった仕様になっていることでしょう。
しかし、友人のクルマではなぜか走行中でもカーナビの操作はできるし、TVまで観れたなんて経験も少なからずありますよね。
通常カーナビは、走行中の操作ができないよう設定されています。
これは走行中、車速信号を検知することで操作を一部制限し、走行中にナビ操作やTV視聴に気を取られて事故が発生しないよう、安全装置の一環としてこういった構造をとっているためです。
しかし今ではアフターパーツによってこの車速信号を上手く処理することで、走行中でも操作が可能になっています。
カーナビの制限解除をするパーツは「ナビキット」「TVキット」「TVナビキット」「ナビキャンセラー」「TVキャンセラー」といった名称で販売されており、カー用品店で見つける事ができます。
最近では幅広い車種・機種に対応しています。いってみればそれだけニーズがあり、走行中に操作できない掻痒感を多くのユーザーが感じている、ともいえます。
しかしここで注意しなければならないのは、「場合によっては違法性がある」という事です。
道路交通法の第七十一条・五の五 を見てみると
『五の五 自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、(中略)当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。』
という項目があります。
つまり、走行中に取り付けられたカーナビもしくはTVを注視してはならないと明文化してあり、こうしたキットを使用して運転中にTVに注視していた、となれば違法になる可能性があると考えることができてしまうのです。
この観点は、携帯やスマートフォンを走行中に使用・注視してはいけないのとよく似ていますよね。
いまのところ、こうしたキットを装着させることで車検を通過できなくなる、ということはありませんし、前述のように注視していなければ違反にはならないともいえますので、現状「グレー」な改造ともいえます。
ただし、こうした改造の主旨からもディーラーは取り付けを当然拒否しますし、場合によっては装着車はメンテナンスを受けられない、といったこともあるかもしれませんね。
一部のディーラー・整備工場では今でもTVナビキットの取付を行っています。
こうしたキットを装着すれば走行中にカーナビの操作制限がなくなり、利便性は上がります。
他方で、それだけナビ画面を走行中に注視する時間が増える為、事故などの可能性は上がってしまうのは紛れもない事実。
運転中のドライバーによるTV視聴などはもってのほか。
助手席の同乗者が操作する、というのが大前提となるでしょう。
安全性の向上に各メーカー注力している流れの中にあって、こうしたキャンセラー装置も規制強化の方向性に繋がっていくのは間違いないとも考えます。
現在、各社安全装備の開発に注力しているのは現代の車を見ればよく分かると思います。
しかし、いまのところ安全支援装備といったところに留まっており、完全に事故を防げる装備でないのもまた事実。
やはりドライバー自身の安全に対する意識の向上が大事なのです。
安全で楽しいドライブの為にも、最低限のモラルは守るのが重要といえます。
そうした交通安全性と紙一重のカーナビも、搭載されるようになってからはドライバーの運転を大きくアシストしてくれます。
カーナビがなかった時代にドライブや仕事で目的地へ辿り着くには、紙製の地図が必需品となっていました。
遠距離を移動する時は、広域地図で高速道路や幹線道路を調べ、近くになったら拡大地図を駆使する、という方法で移動していました。
ですから、ドライブ好きなオーナーのクルマには、全国または地方のロードマップがかならずといっていいほど携行されていました。
紙製の地図は、本のように綴じたものは頻繁な使用で綴じている箇所からページが剥がれ落ちてしまうため、見開きしやすいように工夫されたスパイラルノート型のものが人気でした。
さらに、当時は「抜け道マップ」と呼ばれる、民家の間を通るような道が赤矢印で示された地図も、隠れた人気アイテムでした。
そのほとんどは北が上になっていたのですが、初めて走る道や慣れない道では、自分が走っている方角がわからなくなり、太陽の位置を確認したり、方位磁石を使って方角を調べたものでした。
ちなみに当時、カーコンパスというダッシュボードに付ける方位磁石が人気でした。
また、スムーズに目的地へ到着できるかは、助手席に座ったナビ役にもかかっていました。
一方、1人で運転する場合は、走り出す前に大事な曲がり角のある交差点の名前をメモしたり、道や地名を一生懸命に暗記する努力をしている方がほとんどです。
カーナビは日本で生まれ、日本を中心に発展しました。
日本でカーナビが誕生した理由は、日本の道路事情が関係しています。
日本は住所が入り組んでいて、番地に規則性がなく、欧米のように道路から住所が推測できるようになっているのは京都などほんのひと握りです。
さらに道路網も複雑で、都市部では渋滞がしばしば発生します。
時間や燃料、ドライバーの体力を消耗していると考えたホンダは、その助けになる技術を開発しました。
それが、1981年にホンダ・アコードの2代目モデルに搭載された「ホンダエレクトロジャイロケータ」でした。
当時の日本のトップ技術者の協力を得て完成したこのシステムは、本来は自動運転を目的として開発されたもので、ガスレートジャイロセンサーとタイヤ回転からの距離センサーによって、車の方向と移動を検出して表示し、目的地や途中のポイントまでの残りの距離を視覚化するもの。
地図は、手動で差し替えるアナログ式でした。
ちなみに、ホンダエレクトロジャイロケーターは、2017年3月、世界の電気・電子・通信といった分野における歴史的偉業を認定する賞であるIEEEマイルストーンに認定されました。
その後、1990年にパイオニアが市販モデルで初となるGPS式カーナビAVIC-1を発表、現在のGPSを使ったカーナビ普及の礎となりました。
GPS式カーナビは、GPS技術と自律航法の組み合わせで作られています。
もともと、1960年代に軍事目的で開発されたGPSですが、民生用途の広がりとともに2000年代には精度も大きく向上。
さらに地図のデジタル化が進み、現在では大容量データを蓄積できるHDDナビやSDナビが主流となっています。
カーナビの使い方は、さらに進化しています。
例えば、地震が起きた被災地で、交通情報の把握に使われていたり、盗難車の追跡調査や、営業車に取り付けて、いまどこにいるのかをモニターするなど、様々な情報収集に活用されています。
また、自動車をセンサーとして利用し、取得したデータを交通管理や他の車の走行支援用にフィードバックするような、高度な情報機器としての活用が期待されています。
現在、スマートフォンでも、カーナビの役目を十分にはたすことが可能となっており、ナビゲーションシステムは車に搭載しておく機器である必要がなくなってきているとも考えられます。
カーナビを開発しているメーカーも今後の技術の行方を模索しており、ヘッドアップディスプレイとの連携や、自動運転の根幹技術になるndo、カーナビゲーションの次なる進化が求められています。
カーナビの技術に関して簡単に解説してみました。
今後も進化を続けるカーナビがどう変わっていくのか楽しみで仕方ありません。