ドレスアップ(DIY)・豆知識備忘録

主に車の自己流の整備や解説、ドレスアップをメインに掲載しています

タイヤ交換の必需品! ~トルクレンチってなに?~

f:id:anastasier:20180813105516j:plain

近年ではタイヤ交換をドライバー自身で実施する方がかなり増えてきて、DIYで最も馴染みのある作業になりました。

タイヤ交換ひとつでも業者に依頼するとそれなりの費用がかかりますので、大きな節約にもなりますよね。

そんな馴染みのある作業でも、正しく行わないと脱輪して重大な事故につながってしまいます。

ここではタイヤ交換の際に必要なトルクレンチを紹介しますので、今一度タイヤ交換作業を振り返ってみてください。

 

 

f:id:anastasier:20180813113842j:plain

トルクレンチとは、ボルトやナットなどといったネジ類を、決められたトルク値(締め付け力)で締め付けるための作業用工具です。

また、ネジ類が決められたトルク値で締め付けられているか、測定するための工具としても使われている場合もあります。

締め付けの単位となる「トルク値(T)」は、単位を「N・m(ニュートンメートル)」で表し、ネジ類を締め付けるための押す力(F)とネジ類の回転軸から力をかける地点までの距離(L)を掛けて算出します。

すなわち、式は「トルク値(T)=押す力(F)✖距離(L)」となります。

車の各所にネジ類を締め付ける場合は、その箇所によってあらかじめ推奨されるトルク値が存在します。

このトルク値を人の力具合のみで均一に締め付けるのはとても困難ですが、トルクレンチを使用することで、規定となるトルク値で締め付けることが正確に、スムーズに行うことができます

また、その他にもトルクレンチを使用することで、締め付けすぎによる部品の損傷を防いだり、締め付けが不足しているためにネジ類の緩みや外れを防ぐこともできる便利な工具です。

 

 

トルクレンチは、形状・構造によってシグナル式トルクレンチと直読式トルクレンチに分けることができます。

また、シグナル式トルクレンチの機能を持ちつつも、センサを搭載しトルク値が表示される複合型のトルクレンチも存在します。

 

シグナル式トルクレンチ

f:id:anastasier:20180813121833j:plain

f:id:anastasier:20180813122034j:plain

シグナル式トルクレンチとは、主に締め付け作業工具として使われることが多く、代表的なものにはトルク目盛付きとなり、設定トルク値が変更できる「プリセット型トルクレンチ(画像1枚目)」や、トルク目盛はついておらず、特定の作業用にトルク値が製品の出荷時に設定されている「単能型トルクレンチ(画像2枚目)」などがあります。

プリセット型トルクレンチは、あらかじめトルク目盛を設定したいトルク値に合わせておき、ネジ類を締め付けていくと、規定値に達した際、「カチッ」という音と感触によって、最適のトルク値に達したことが分かる仕組みとなっています。

また、本来トルクレンチはネジの締め付け方向(おもに時計回り)のみでの規定トルクによる締め付けを前提としていますが、部品や車種によって(ダブルタイヤ付きトラックなど)反時計回りでの締め付けが必要な場合があるため、両方向に対して規定トルクの締め付けを可能とする「両振り」や、ソケット取付部が両面に搭載されているものもあります。

単能型トルクレンチは、トルク値を変更する必要がなく、同一のトルク値で繰り返し作業をする際に便利です。

 

直読式トルクレンチ

f:id:anastasier:20180813132016j:plain

f:id:anastasier:20180813132120j:plain

f:id:anastasier:20180813132537j:plain

加えようとするトルク値が目盛やデジタル表示で読み取ることができる形式のトルクレンチです。

負荷するトルク値が一目で表示されるため、既定の値となっているかを測定したり、検査したりする際に使用されることもあります。

直読式トルクレンチの代表的なものとしては、トルク値がデジタル表示される「デジタル型トルクレンチ(画像1枚目)」や、トルク値をダイヤルの目盛と針で表示する「ダイヤル型トルクレンチ(画像2枚目)」、ヘッドに固定された軸(アーム)が力によってたわみ、その針が指した目盛でトルク値を計る「プレート型トルクレンチ(画像3枚目)」などがあります。

デジタル型トルクレンチは、締め付けるトルク値を数値で表示するのに加え、設定値に達した場合、音や光によって知らせますが、シグナル式トルクレンチに比べ、価格は高いものが多い傾向にあります。

 

 

トルクレンチを選ぶ際には、トルクレンチで何をするか、作業用途を第一に考えると選択しやすくなります。

その作業でのトルク値を確認し、そのトルク値を範囲(容量)に持つトルクレンチを選択するようにします。

タイヤ交換のみで使用するのであれば、愛車のホイールナットのトルク値を含むトルク値が設定できるプリセット型トルクレンチや、あらかじめトルク値が設定された単能型トルクレンチを選択するのも良いかも知れません。

お財布に余裕がある場合はデジタル型トルクレンチを用意するのもいいでしょう。

 

 

では、実際の使い方を紹介していきます。

ここではプリセット型トルクレンチの使用を例にしています。

 

 

愛車の規定トルクの確認とトルクレンチの設定

f:id:anastasier:20180813135926j:plain

f:id:anastasier:20180813140004j:plain

トルクレンチを使用する前に、まず愛車のホイールナットの締め付けトルク値を確認してトルクレンチを設定しておきます。

国産車の場合、普通車では「90~110N・m」、軽自動車では「70~90N・m」となっていますが、正確な数値は、整備マニュアルやディーラー、取扱書にて確認しましょう。

締め付けトルク値が分かったら、トルクレンチをそのトルク値に設定します。

 

設定の仕方は、まずトルクレンチのロック部分(画像2枚目)を解除し、主目盛と副目盛(画像1枚目)を回して調整しながら設定したいトルク値に設定し、完了したらトルク値が固定されるようロックを掛けます。

 

 

タイヤを交換してナットを仮止めする

f:id:anastasier:20180813142521j:plain

車を平坦な場所に止め、エンジンを停止させてサイドブレーキを作動させたら、正しい場所にジャッキをセットし、車体をジャッキアップさせます。

 

ジャッキアップの方法に関しては以下の記事にて紹介していますので、こちらも一読ください。

www.anastasier.xyz

 

クロスレンチなどを使いナットを緩め、タイヤを取り外します。交換するタイヤをセットしたら、ナットを規定トルクに達しない程度の力で「仮止め」していきます。

この際、締め付けるナットの順番は、対角となるように締め付けていきます。

例えばナットが4つで構成されるタイヤなら「上→下→左→右」という順、5つで構成されるタイヤなら星を一筆書きする順にすると良いでしょう。

なお、車をジャッキアップする際には、必ず整備マニュアル等で正しい場所を確認してから行い、車体の下に体や足を入れないように注意してください。

 

 

車体をジャッキから降ろしてトルクレンチで締める

f:id:anastasier:20180813144253j:plain

ジャッキアップした状態から、車体を元の状態に戻します。

ナットにトルクレンチをセットし、規定のトルク値で締め付けていきます。

締め付ける際、トルクレンチを持つのはグリップの基準点となり、回す方向も決められていますので、あらかじめ取扱説明書にてグリップ位置(持つ位置)や回す方向を確認しておきましょう。

締め付けていくと、規定トルク値に達した際、「カチッ」という音と感触が伝わるので、その音と感触を「締め付け完了」の目安とし、それ以上は締め付けないようにしましょう。

締め付けすぎは、ボルトやナットの破損の原因になったり、次回のタイヤ交換の際に外れないなど、トラブルの原因となってしまいます。

締め付けるナットの順番は、ここでも対角となるように締め付けていきましょう。

 

 

トルク値を最小値にして保管する

f:id:anastasier:20180813150311j:plain

使い終わったら、トルクレンチのトルク値を設定の最小値となるよう戻しておきます。

これは、プリセット型トルクレンチの殆どが値の調整を「コイルスプリングの伸縮」で行っているため、元に戻さないままではスプリングに緩みが発生してしまうことを防ぐために必要な作業になります。

また、保管場所も湿気や振動のない場所で、付属の収納ケースなどに収納して保管されることをおすすめします。

アフターケアもトルクレンチを長く安全に使用していくうえで重要なポイントとなるので、習慣にしましょう。

 

 

以上が、タイヤ交換にプリセット型トルクレンチを使用した手順となります。

トルクレンチを適正に使用することは、ボルトやナットを長持ちさせ、車の安定走行や安全にもつながる工具です。

まずは、タイヤ交換の際に試してみるのはいかがでしょう。