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マツダ車の定番! ロータリーエンジンの構造・解説

 

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マツダの代名詞でもあるロータリーエンジンは、車好きの方々に人気のエンジンです。

マツダが開発したF1カー「787B」にも、ロータリーエンジンが搭載されています。

でも多くの方はロータリーエンジンというものは知っていても、その構造を知る人はあまり多くはないと思います。

ここではロータリーエンジンの構造と仕組み、特徴などを簡単にまとめてみました。

 

 

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ロータリーエンジンとは従来のエンジン(レシプロエンジンがピストンの往復運動による容積変化でエネルギーを生み出すエンジン)と違い、回転運動の容積変化によってエネルギーを生み出す最新鋭のエンジンです。

レシプロエンジンについては以下の記事を参考にしてみてください。

 

www.anastasier.xyz

 

 

www.youtube.com

エキセントリックシャフトと呼ばれる中心に三角形の形をしたローターを組み合わせて出来ています。


レシプロエンジンが吸気→圧縮→膨張→排気のサイクルを順々にこなしていくのに対して、ロータリーエンジンはローターによって区切られた3つの空間で一連のサイクルを同時並行で効率よく一気にこなしていきます。

理論上はロータリーエンジンが1回転で得られる爆発によるエネルギーは同排気量のレシプロエンジンの3倍あるということにまります。

これがロータリーエンジンレシプロエンジンに比べ圧倒的に排気量が少なく、燃焼効率がいいと言われる所以です。

 

しかし革新的な効率性と構造のスマートさから、開発に携わる多くの技術者たちの注目を一気に集めたのもつかの間、ある大きな壁に直面します。

 

この三つの空間の気密性を保持しているアペックスシールという部品が回転するたびに異常に磨耗してしまい、すぐに使い物にならなくなる問題が発生するのです。

 

しかしこの悪魔の爪痕と呼ばれていた問題も、技術者達の尽力によって、特に日本カーボンによる高強度カーボン材のパラグラファイトによって、解決されるに至りました。

 

 

 

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A部分がローター。

B部分がエキセントリックシャフト。

ローターの回転運動をそのままエキセントリックシャフトに伝達する仕組みになっています。

 

 

主な構成部品は以下の通りです。

 

ハウジング

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レシプロエンジンでいうシリンダーブロックに相当する部品です。

ローターの回転運動のために確保されている空間の周辺には、冷却水(LLC)の通路とスパークプラグが設けられています。

 

エキセントリックシャフト

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レシプロエンジンでいうクランクシャフトに相当する部品です。

ローターの回転運動を受けて動力を伝達させる主軸になります。

従来のレシプロエンジンと異なるのは、ローターがハウジング内面に沿って規則正しい回転ができるように、ローターの回転運動を制御す役割があります。

 

ローター

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レシプロエンジンでいうピストンに相当する部品です。

三角形の形状をしているため、1ローター=3ピストンに相当する動力を発生させることができます。

 

 

アペックスシール

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レシプロエンジンでいうピストンリングに相当する部品です。

ローターの頂点3ヶ所に取り付けることで、ローターの回転運動に合わせて移動し、ローターとハウジング間の燃焼室の気密性を確保しています。

当初のロータリーエンジンの最大の弱点であったために、改良にはかなりの時間を費やしていたそうです。

 

 

メリット

・高出力

・部品数が少なく、エンジン自体を小型軽量化できる

・アクセルレスポンスが良い

・エンジンの振動を低減できる

 

デメリット

・燃費が極端に悪い(RX-8の実数値:8km./L)

・CO、HCなどの排気ガスの排出量が多い

・街乗りなどの低速トルク走行時の効率が悪い

 

根本的な構造上の特徴から大きな利点もある一方、燃焼室が回転しながら位置を変えるため点火プラグと混合気の距離が離れ、ガソリンの点火が上手くいかなくなり、よって燃費が悪くなってしまいます。

デメリットはあるものの、実際に運転した人にしかわからない独特の気持ちよさが車好きたちを虜にしているようです。

 

 

また、マツダでは最先端技術を示すスカイアクティブというものがあります。

常識を打破する志と最新技術をもって課題解決に取り組む」という意味が環境性能とパフォーマンスの両立という理想とセットで込められています。

 

特に注目されているのが、このスカイアクティブの第二世代であるスカイアクティブ2の中の「HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition)」という技術です。

この技術は言わば、ディーゼルとガソリンの中間の技術で、ガソリンエンジンなのに点火プラグを必要とせず、自己着火で完結する技術です。

混合気が自己着火しガソリンが効率的にきちんと燃焼するこの技術がロータリーエンジンの最大の難点である、燃焼室の変化と点火プラグのずれを解決し、排気ガスと燃費の悪さという問題を打開してくれるかもしれないのです。

まだ混合気と吸気の温度や噴射量の制御に問題はありますが、この「 HCCI」によってロータリーエンジンがさらなる進化を遂げることが十分考えられます。

 

 

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また、2016年3月24日にマツダが一気にロータリーエンジンに関する特許を出願しました。

この特許の内容を見てみると、主に燃焼室の形状を変えることによって、燃焼効率を上げ、燃費を向上させようというもののようです。

そしてここでもう一つ注目なのが、ロータリーエンジン関係の特許の中に気体燃料、つまり水素燃料に関する特許も出願されているということです。

これはRX-8の排ガス規制の件を考慮して、この規制をパスするために水素ロータリーエンジンの開発も視野に入っていることを表しています。

 

 

以上が、ロータリーエンジンに関する記事になります。

エコカーを重点的におすすめするメーカーが多い中で、マツダだけはロータリーエンジンに対するこだわりがとても強いことがわかりますね。

車好きの方でもロータリーエンジンに愛着がある方も多いはず。

この記事を通して、より車に興味を持っていただけたら幸いです。

 

 

 

P.S.

ロータリーエンジンエンジンを紙で製作した動画があります。

独特のタービン音まで再現されているので、よろしければご覧ください。

www.youtube.com