車をカッコよく魅せるツライチってなに?
車好きの方同士の会話の中で、よく「ツライチ」なんていう単語が出てくることが多々あるかと思います。
これは車体とホイールのマッチングに用いる言葉なのですが、こうすることでどのような効果があるのか簡単に紹介したいと思います。
まずツライチとは、画像のようにボディー・フェンダーの面とホイールの表面が均一に連なることを指します。
特に日本車のタイヤホイールのセッティングは、タイヤチェーンの装着を考慮した形でやや内側に入り込んでいる傾向があります。
そのため、見た目上では、やや足が貧弱な印象になってしまうこともしばしばあります。
私もそうですが、とくにカスタマイズ・ドレスアップマニアの方々にとっては不満の残るところかもしれません。
そこで、ホイールのリム幅やオフセット、またワイドトレッドスペーサーなどを用いるなどして、タイヤホイールをボディやフェンダーの外側面ギリギリまで押し出して取り付けてしまおうというのが「ツライチ」セッティングというものになります。
1枚目がスペーサー。
2枚目がワイドトレッドスペーサー(略称:ワイトレ)。
どちらもホイールの取付面を外側にずらすものですが、スペーサーは車体とホイールの間に挟むだけのもので、純正のハブボルトで締めるだけになっています。
なのであまり厚すぎるスペーサーを使うとナットがボルトに噛み込まず適正な締め付けができない場合もあります。
しかしワイトレの場合はスペーサー部分にハブボルトが打ち込まれているため、車体とホイールを別々に締め込むことができるので、適正な締め付けをすることができます。
そのかわり選択できる厚さが10mm以上で、スペーサーのように細かな調節ができないため、ホイールとの組み合わせによっては車体からホイールが完全にはみ出てしまうこともあります。
なかなか難しいですよね。
なんといっても格好が一番。足の踏ん張りが利いて、しかもデザインのよい社外アルミホイールがスタイリングをより強調してくれます。純正セッティングよりもはるかに見た目の面ではこちらに軍配が上がるはずです。
これに合わせて、ダウンサスや車高調などを用いて車高を調節したり、キャンバー角を好みの角度に合わせるなどして、トータル的にコーディネート、セッティングをしなければ、実際のところ恰好はつきません。
車高もミリ単位、キャンバーセッティングもけっこうシビアになってきますから、その作業は綿密なものになってきます。
作業はかなり地道なので、途中で断念するか、面倒くさいからこんなもんでいいやと適当に終わらせてしまう方も多いです。
私自身もかなり適当にやっていますw
スペーサーを使ってホイールを外側に出すと、今度はホイールが車体に接触してしまう場合があります。
赤線の部分に接触することが多いです。
この部分をツメというのですが、この部分を加工してやらないとホイールや車体が傷だらけになってしまいます。
そこでよく行なわれるのが、専用器具などを用いた「爪折加工」というものです。これはその内側に出っ張ったフェンダーパネルの「爪」をさらに折り曲げて、干渉部分をなくすというものですね。これで、かなりツライチぎりぎりのセッティングが可能になるはずです。
またこれだけでなく、板金業者でフェンダーを外側に押し出してしまうワイド加工をおこなうというパターンもあります。
これは、フェンダーの側をオーバーサイズになったタイヤホイールに合わせて押し出してしまうというものですが、きれいに仕上げるのはそれ相応の腕前も必要かもしれません。車幅も換わってしまうことが多いですから、車検時にも注意が必要。
クルマを格好良くモディファイしていくにもいろいろと手法があるものですが、こうして見ると、一つ一つに細かな加工や注意点があるということがよくわかります。
もちろん、タイヤホイールを外側に出すことで不具合もあります。
タイヤホイールを極端に外側に出して、しかもキャンバー角も大きくつけるとなると、当然走行関係の注意点も出てきてしまいます。
まず一点目がタイヤの片減り。設置面が極端にタイヤの内側に集中するこのドレスアップの場合、内側が極端に減りやすいというのはわかりやすいところかもしれません。
また、純正セッティングで出されている設置面の中心位置も同時に内側になりますから、ハンドルの手ごたえやハンドリングそのもの、あるいはグリップ関係にも大きな変化が生じる可能性を視野に入れていただく必要があると思います。おおむね、バランスは崩れるという認識でよろしいと思います。
しかし、それも目をつむってスタイリングを最大限に打ち出してドレスアップを極めるという目的のものですから、このあたり、オーナーさんなら折込済みかもしれませんね。これから考えようという方は、一応知っておいた方が良いでしょう。
今はある程度ノウハウのあるショップもあるでしょうし、データもある程度出回っていて加工もしやすいかもしれませんね。
スタイリングを重視しつつ、デメリットが生じない範囲で楽しまれるとよいでしょう。
また、よくあるのが通常のスペーサーとワイトレを重ねて使用する方も多いのですが、ワイトレ本体の強度を上回る力がかかるようになるのでやめたほうがいいです。
ワイトレの上から装着しようとすると、画像のように純正のハブボルトに接触してしまうのでワイトレの内側にスペーサーを挟むのがほとんどですが、こうするとワイトレの締め付け位置が外側に寄るため、段差通過時やハンドル操舵時にハブボルトに加わる応力が通常よりも高くなってしまいます。
強度の面で信頼性の高い純正部品でも、この状態で走行を続けてしまうとハブボルトの寿命を縮めてしまいます。
中にはワイトレの上から装着するタイプの専用のスペーサーもあるのですが、ワイトレそのものがアルミ合金などで生成されているものが多く、強度はそこまで高くありません。
そこに専用のスペーサーを装着するということは、ワイトレ本体にかかる応力を高くしてしまうので、最悪の場合割れてしまうこともあります。
スペーサーに限りませんが、ドレスアップをする際には取り付ける部品を正しく使用しないと、車だけでなく持ち主・周囲の人が痛い思いをしてしまうので注意しましょう。